わたしファーブル、ぼくダーウィン
自然の力はミラクル。子どもが虫を探したりじっと動きを見つめたり、動いてくれなくて困ったという経験はないですか。
昆虫観察や植物を育てる体験が、とても大切であることを奈良学園大学の高岡教授におうかがいしました。
※こちらの記事は『ことまま』2026年5・6月号で掲載したものです
キンダーガーテン
幼児教育の祖といわれるフリードリヒ・フレーベル は、子どもが自然の中で遊び、植物や生き物と関わる体験が成長に欠かせないと考え、1840年ごろ世界初の幼児教育施設「キンダーガーテン」をつくりました。「子どもたちの庭」という意味で、日本では「幼稚園」と訳されました。

「自然のミラクルな力」で育つ自己肯定感
身近な自然体験(昆虫や植物を育てることなど)は、自己肯定感に良い影響を与えます。
種をまく
↓
花が咲く
↓
「きれいだねー」と保護者が感心する・写真を撮る
↓
「ぼくが育てたんだよ、わたしが種をまいたんだよ」と誇らしくなる
↓
「すごいねー」と保護者が褒める・子どもを認める
↓
嬉しくなる

この一連の体験は、自然のミラクルな力を借りた無理のない成功体験となり自己肯定感を育てます。わたしは、園児たちと一緒によく種をまきます。もちろんプロではないので、花さかじいさんのように適当にまくわけですが、種はちゃんと芽を出して花を咲かせてくれます。さらに、育てたものが美しく咲くだけでなく、美味しく食べられる野菜や果物だったとしたら、まさに充実感につながる飛び抜けた成功体験となるはずです。自然の力はミラクルで、計り知れません。奈良県は比較的、土に触れ易いですよね。折角の恵まれた環境です。自然の力を目一杯、利用させてもらいましょう。
「いのち」が育てる探求心

たとえば、チョウのサナギが殻を破って成虫になる様子を観察しているときなど、子どもたちは拳を握って見守っています。幼虫がチョウへと変わる姿を実際に見ることで、子どもは「いのち」の変化を実感しているのです。
また、チョウの観察をしていると、チョウの種類によって産卵する植物(食草)が異なることに気付き始めます。
(奈良市内でよく見るチョウの例)
・モンシロチョウ → キャベツなどアブラナ科
・キチョウ → ハギなどマメ科
・ツマグロヒョウモン → ビオラ・パンジーなどスミレ科
すると、「どうしてこの虫はここにいるんだろう?」と不思議に思い始めるのです。子どもたちは自然の中で「どうして花が咲くのかな?」「アリはどこから来たんだろう?」と、たくさんの疑問に出会います。大人が子どもの疑問に「なんでだろうね?」と寄り添い、一緒に考えたり調べたりすることで、探究心や思考力が育っていきます。「なんで?」と思うことが、「わかった!」につながり、さらに学びが広がるのです。
自然の中で育つ「多様性と生き抜く力」
自然は人間の思い通りにはならず不安定なものです。だからこそ、自然と向き合う経験は柔軟性や適応力を育てます。臨機応変に対応する力を育てるのに自然はうってつけと言えますね。さらに、自然は「不定形」でもあります。たとえば、チューリップ一つを見ても、全く同じ形や色のものはありません。それでもすべてチューリップです。この体験は「みんな違っていていいんだ」という多様性の理解にもつながっていきます。
昆虫や植物を観察したり育てたりすることは、特別な道具も高額な費用も不要です。身近な自然の中には、子どもにとっての発見のチャンスがあふれています。小さな発見の積み重ねが「もっと知りたい」という気持ちを育て、学力だけでなく「生きる力」から一歩進んだ「生き抜く力」へとつながっていきます。親子で自然に触れる時間を楽しんでください。

多くの園での試み ビオトープ
(ビオトープ…生物の生息場所を意味するドイツ生まれの概念。水辺空間に限らず、草地・森林・農地・湿地・都市公園・草むら・街路樹なども含む。)
園庭での自然体験活動の重要性を踏まえて、園庭内に、多くの生物が生息するビオトープを持つ園も多い。緑豊かな園庭で思い存分に遊ぶことで子どもたちの生き抜く力が育まれていく。
写真はみんなで荒地から石を除き、土を入れて耕し、花壇にしたところだ。花壇は、チョウが好む植物を考慮して植えることで、美しいだけでなくさまざまな種類のチョウが卵を産み、バタフライガーデンにもなる。「どのチョウになるのかな?」と、完全変態の過程をワクワクしながら観察する体験は、小学校での生活科や理科での学びの貴重な土台となる。
ライター

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奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
Instagram: @co_to_mama
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