自分で考え 判断し 行動に移せる そんな人を育てる
「先生がいつも手を差しのべてくれた幼稚園」から「自分で考えて動く必要のある小学校」への環境の変化には不安を感じる保護者の方も多いと思います。不安を和らげるとともに、どのような気持ちで入学を迎えればよいのかを奈良女子大学附属小学校の西田先生にお伺いしました。
※こちらの記事は『ことまま』2026年1・2月号で掲載したものです
保護者の方に
「手は出し過ぎず目は離さずに」
親が心配するほど子どもは弱くありません。子どもはみんな「なんとかする力」を秘めています。心配なのは当然ですが、過保護にして、その芽を摘まないようにしましょう。親がいつまでも守ってあげられるわけではないですよね。自分ひとりで生きていく力を育てていくのが学校です。安心して通わせてほしいと思います。
もうすぐ1年生の子どもたちに
「なんにも心配いらないよ。」
先生はみんなの味方です。困ったことがあったら助けてくれます。楽しいことがいっぱいあります。みんなが元気に来てくれるのを小学校で待っていますね。
子どもを信じよう
「子どもを信じることが大切」と言うと、子どもの話すことをそのまま鵜呑みにして聞くことだと思う保護者の方がいらっしゃいますが、そうではありません。
子どもを信じるとは、この子は困難にめげずに立ち向かい、自力で人生を歩いていく力を持っていると信じて支え、見守ることです。家庭では、いろんな意味で子どもに不自由をさせないように育てていますよね。でも、学校では自分の意向と違うことや、困っとことにも直面するでしょう。自分が最優先されない場面も多々あると思います。そんなときに、子どもの不満を聞いた親も一緒になって不満を抱え、親の力でなんとかしてあげたいと考えるのではなく、子どもが自分で乗り越える力を持っていると信じて、子どもと一緒になって考え、解決策を提案してあげてほしいと思います。
ある意味、学校は不自由を経験するところでもあるわけです。その積み重ねが、子どもの「自分で考え、判断し、行動に移せる力」になります。
心配し過ぎずに
学校という環境に慣れていくペースに違いはあっても、多くの子どもたちは何となく慣れてやっていくものです。どうぞ心配し過ぎずに、小学校生活を楽しみに見守ってあげてください。学校の中では、さまざまなトラブルも起こると思います。幼稚園とは違い、休み時間に先生の目の届かないところでの出来事もあるでしょう。そんなとき、我が子から聞く話がトラブルの全てではないこともあります。たとえば、「○○ちゃんにこんなひどいことを言われた」、「○○くんと喧嘩になった」なども、その前後を知らないと全く違うストーリーである可能性があります。保護者の方は学校内での様子をつぶさに見ることはできません。子どもから聞く話は一部分の切り取りであることを理解したうえで、不明なこと、知りたいことがあれば、担任の先生に相談するのが良いですね。
また、担任の先生が話す我が子の様子が保護者の方の見解と異なる場合もあると思います。子どもは、学校と家庭とで違う姿を見せていることもがあります。大人も会社と自宅では立ち居振る舞いが違うことが往々にしてあるのえすから当然のことです。担任の先生の見解を否定するのではなく、「もしかすると先生の言うように、学校では私の見ている姿とは違う面を出しているのかな」と捉えて対応を考えることが大切です。
他人と比べない
赤ちゃんの頃の立った、歩いたから始まり、ひらがなが読める、時計が読めるなど、周囲の子どもとの成長スピードの違いをずっと気にしてきた保護者の方も多いと思います。でも、成長のペースは人それぞれ。統計を取ったわけではありませんが、私の経験上、1年生のときのできる・できないがそのまま後々の差となるわけではありません。小学校6年間でも成長の仕方は個々に全然違っています。誤解を恐れずに言えば、幼い頃からなんでもできて、挫折も困難も知らずに成長して行くほうがその後に何らかの壁に当たったときを考えると怖いことです。
幼い頃なら挫折も困難も比較的小さくて済みますね。でも、成長してからいきなり挫折や困難に直面して、立ち向かう術も解決する方法も経験してきていないと、大きな挫折に繋がることも考えられます。幼い頃から小さな挫折や困難を乗り越える経験を繰り返し、出来ないことを抱える経験をしてきた人の方が、生きていく力を育ててきたと言えるのではないでしょうか。
そう思うと「できていることが何よりも素晴らしいわけではないんだ」と、子どもにより優しくなれませんか。
教えて!先生
Q . 宿題は子どもだけでさせた方がいいですか
A. 基本的に子どもがひとりでできる範囲で出されます。でも、もし可能であればできる範囲で1年生の間は一緒に取り組んであげると良いと思います。ただし、親が一生懸命になりすぎてイライラしたり、やらなきゃいけないと義務に感じたりするなら、むしろしない方がいいですね。手伝っても手伝わなくても、先生にどう思われるかなんて気にする必要はないですよ。最初のうちは一緒に取り組んだり手伝ってあげたりして、最終的にひとりでできるようになることを目指しましょう。親が手を引く引き際は、その子によって違います。自然にひとりでできることが増えたときが、その子のタイミングです。
※ワンポイント:こんなときは?
「1+1=3」のように明らかに間違っているのを見つけたら、一緒に考え直してあげましょう。Q . 家ではタブレットを使ったことがありません
A. 全ての学校でタブレットやパソコンも使用していますが、入学前にわざわざ練習する必要はありません。反対に、幼い頃からタブレットやスマホに慣れ親しんでいる子どもは、使い過ぎに気をつけないといけませんね。かと言って一切を禁止するのはこれからの時代を生きる子どもたちにとって現実的ではありません。
禁止するよりは、健全な使い方を身につけていきましょう。Q . 若く経験の浅い先生だと不安に思われる保護者の方もいらっしゃると思うのですが
A. 若い先生たちは経験豊富な先生に必ず相談しています。担任の先生が一人でなにもかもを処理することはありません。まずは担任の先生を信頼して相談してほしいと思います。
ライター

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奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
Instagram: @co_to_mama
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