みーんなピカソ ー造形活動は人を笑顔にするー

子どもが描く絵や作るものには言葉にならない気持ちがたくさん詰まっています。
子どもから大人への大切なメッセージかもしれません。
子どもの表現をどう受け止め、どう関わればよいのかを
帝塚山大学教育学部こども教育学科准教授の服部正志先生にうかがいました。

※こちらの記事は『ことまま』2026年3・4月号で掲載したものです

帝塚山大学教育学部
こども教育学科
准教授(キリン先生こと)服部 正志先生

保護者の方へ

お子さんが表現したものの一番のファンでいてあげてください。
ファンとは、好きであって応援すること。
親が応援してくれる、認めてくれると子どもは頑張ることができます。

ポイント!

・絵や工作は言葉を生み出す作業
・子どもの歩みを見守る忍耐が必要
・表現はさまざま。視点を変えるとものごとの捉え方が楽しくなる
・作品は子どもの心の歩みの記憶

子どもにとって絵を描いたり工作をすることは日常生活の延長で特別な活動ではありません。普段の生活のなかで、たとえば目の前にある色鉛筆を手に取ることで内から出てくる感情を色や形に置き換えているんです。それが創作活動になっているだけです。ですから、大人の都合で操作せず、ピュアなまま自由にさせてあげましょう。主体的、積極的に何かをする第一歩になるはずです。素直な感情を絵や工作など目に見える形にしてくれると、大人は心の奥底に隠れた感情を読み取り、応えることができるので、ある意味、ありがたいことですね。

「先生、わたしの絵、上手?」と聞かれることがよくあります。わたしは、上手な絵とか下手な絵なんて無いと思っていますので、良い悪い、上手下手ではなく、「あなたにしか描けない絵だね」「きみらしい絵だね」と答えています。おうちでも、子どもから聞かれたときには「ママはあなたの描く絵が好きだよ」と、その子にしかできない表現を褒めてあげてください。子どもは嬉しくなって楽しくなって、ますます自分の素直な感情を目に見える形にしてくれると思います。表現に同じものはありません。図画工作では、人との違いを見つけ、違いを意識することで、自分を知り、人間性が形成されていきます。

五感に優れている幼児期に、何にも触れないでいるのは勿体ないことです。特に子どもが視覚から得る情報量はずば抜けているので「鑑賞する·見る」ことは非常に大事です。大人が素敵だと思ったもの、好きだと感じるものはどんどん伝えてあげましょう。「見ておきなさい」ではなく、「パパは〇〇〇と感じるんだ」「ママは〇〇〇のここが好き」と、伝えると良いと思います。親子の関係性も良くなるし、関係性に厚みがついていくのではないでしょうか。

たとえば、絵を描くのに筆が無いと描けないなんて寂しいことです。身のまわりにある何気ないものがアイデア次第で代用できるって、楽しいと思いませんか。紙やアルミホイル、ラップを細く丸めてもいいし、ストローや割りばしなんかも使えますね。輪ゴムを並べて造形したり、ペットボトルのキャップで描いたり、また、パレットの代わりに紙皿にラップを敷いて使えば後片付けもラクですよね。

家庭で楽しむうえで大事なのは5分間でもいいので一緒にする時間を持つことです。ご両親もスマホを置いて一緒に楽しんでください。そして子どもが生み出したものは出来る範囲で「しつらえ」てあげましょう。大人がひと手間かけることで作品が特別なものに変わります。しつらえたあとは、お家の象徴的な場所(リビングや玄関の目につく場所)に飾ってあげてくださいね。

「しつらえる」例·額に入れる

額は作品の世界に引き込む力をもっています。ちゃんとした額を買わなくても大丈夫です。画用紙でフレームを作っても素敵ですし、絵を描いた紙よりもひと回り大きい紙に貼るだけでもフレームや枠になります。シールを貼って飾ったり、四角形の紙を円形にするだけで特別なものになりますよ。

用意するもの

・画用紙など無地の紙(しっかりとした土台があると尚良い)
・マジック、クレヨンなど

①2人で向かい合って座る(二人が腕をのばして手を繋げるくらいの間隔を空ける)。

②子どもが自分の顔の高さぐらいで大人の方に向けて画用紙を持つ。
大人がマジックなどを持った手を肘をのばして子どもの方に向ける。

③描く絵を決めたら大人の指示通りに子どもが画用紙を動かして絵を描く
(子どもからは描いている絵が見えないようにする)。

④完成!どんな絵が描けたかな?

はるちゃん 4歳0ヶ月

幼児はマジックを持った手を肘をのばしてキープすることが難しいので、大人が担いましょう。年齢に応じて描く絵の難易度を変えて遊べます。

下に線を引きたいときは「画用紙を上に動かして」、右に横線を引きたいときは …?

案外、指示を出すことが難しかったりします。感触遊びにもなりますし、親子や家族でコミュニケーションを図りながら上下左右の勉強にも。

ライター

ことまま編集室
ことまま編集室
奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
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