
「発達凸凹」や「発達障害」という言葉を耳にしたことはありませんか。
幼稚園などの集団生活で、みんなと同じでいるのが苦手な子どもたちと出会うことがあると思います。
そんな子どもたちが必要とするのが療育です。まずは「知る」ことから始めてみませんか。
子どもはみんな“水を得た魚”
「言葉が遅い?」「他の子と違う?」不安を感じた時に親はどうすべきでしょうか?奈良市で子どもの発達(ことばやコミュニケーションの苦手さ、多動)を中心に専門的な診療を行っている「つくだクリニック」院長の佃先生にお話を伺いました。
医療法人宗紀会
つくだクリニック小児精神科・小児心療内科
「上手にかかわって元気なおとなに」
インリアルアプローチを重視した言語コミュニケーションの個別訓練も行っています。
奈良市三条本町1-2 JR奈良駅NKビル3F
☎ 0742-26-1567
特性って?
ことまま:
たくさんのお子さんを診ておられる先生からご覧になった発達障害をもつ子どもたちの特性についてお聞かせください。
佃先生:
特性というのは誰もが持っているプラス(得意なこと)とマイナス(苦手なこと)のエネルギーのことなんです。発達障害を持つ人は、そのうちのいくつかのエネルギーが強いんですよ。例えば、ノーベル賞を受賞するような人に発達障害を持つ人が多いと聞きますよね。その人達は、プラスのエネルギーを最大限に発揮して、マイナスのエネルギーを最小限に抑える対策を知っているんです。
ことまま:
得意なことを伸ばし、苦手なことが引き起こす失敗を減らすということですね。
佃先生:
そうです。マイナスのエネルギーが原因となる大きな失敗を防ぐ対策を知っていれば、プラスのエネルギーを使って自分の能力を発揮できますよね。それができれば、自信をもって、元気な大人に成長できます。
かかわり方を知る
ことまま:
プラスとマイナスのエネルギーを上手に使うというのは、発達障害を持つ人だけでなく、どんな人にも当てはまることですね。では、発達障害の子どもの場合、どうすればエネルギーを上手に使えるのでしょうか。
佃先生:
まず、大人がかかわり方を知ることが大切です。大人が子どものことを思って普通のかかわりを続けると、子どもはしんどいんですよ。この子のためにと思って叱り続けることで、子どもをつぶしてしまうことになります。メンタルがこわれちゃうんです。だけど、大人がかかわり方を知っていれば、その子に応じたかかわり方を工夫することができるんですね。
ことまま:
なるほど。どのようなかかわり方をするのが良いのでしょうか?
佃先生:
私はね、今までの症状と現在の症状をお母さんから詳しく聞きます。そのうえで、よく観察します。そこから子どもが発しているヒントを読み解いて、将来的なしんどさを軽減するための工夫につなげるんですね。それをもとに、家庭でのかかわり方の工夫をお伝えします。
ことまま:
家庭でのかかわり方を工夫するのは早い方が良いのでしょうか。
佃先生:
まだ小さいから分からないとか、様子を見ましょうというのは、単に時期をずらしているだけなんですね。待っていても、様子を見ていても解決しないですよ。少しの工夫で、子どものしんどさは全然違ってきます。しんどさは、少しでも早く軽くしてあげたいですよね。
誰よりも強く豊かに
ことまま:
子どもの成長に不安を感じたら、まずは先生のような専門家の方に診ていただいて、かかわり方を知ることが大切なんですね。
佃先生:
発達障害という診断を受けることが不安なお母さんも、逆に診断を受けて安心できるお母さんもいると思います。でも、お子さんが元気な大人になれば、診断名なんて何の意味も持たなくなります。なによりも、お母さんが「知る」ことで、いろんな工夫ができるようになりますよ。かかわり方を工夫して育てられた子どもは、水を得た魚のように、誰よりも強く、誰よりも豊かな人生をおくることができるんですよ。
ことまま:
先生に、そう仰っていただけると、不安を感じているお母さんたちも明るい気持ちになると思います。今日はありがとうございました。
※こちらの記事は『ことまま』2024年7・8月号で掲載したものです。
ライター

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奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
Instagram: @co_to_mama
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