帝塚山大学心理学部心理学科准教授で、こころのケアセンター臨床指導員の式部先生に「療育」を受けるメリットを伺いました。

環境の変化の捉え方(前編)

入園や入学の時期、子どもたちにとってはとても大きな環境の変化が待っています。新しい教室や新しい先生、新しい友だち。感覚の過敏さがある子や、周囲の刺激をすぐにキャッチしてしまう子、じっとすることが苦手な子たちは、この「いつもとちがう」が多い時期、たくさんのエネルギーを使っています。

一度にたくさんの情報が入ってくるので、おうちではできることが、園では時間がかかったり、指示を忘れてしまうことも。しんどいことが多い分、好きなことに熱中しすぎることや、不安が強いといつもよりこだわりが強くなることもあります。できないことが目立つ時期は、苦手なことをがんばっている時期と言えます。

注目してほしいのは、「いま、できていること」。できないことに理由があるのと同じで、できることにも理由があります。せたら、大人もほっとして穏やかに子どもを見つめることができるでしょう。

①音や目に見える刺激が少ないから?

②声かけだけでなく手本を見せたから?

③事前に伝えておいたから見通しを持って安心できたから?

できたときのことを思い出して、何がよかったのか、なぜできたのかをふりかえってみましょう。

新学期は、子どもの発達段階にあわせて、大人の援助の種類や量を見直す良いチャンスでもあります。体を支える、お手本を見せる、指差しをして教える、声かけや見守りをするなど、どのくらいの援助があれば、できそうでしょうか。できていたことができなくなったときは、ひとつステップを戻して、少し手伝う時期があってもよいですね。

次回は援助のしかたについて詳しくお話します。

心理学部心理学科准教授
臨床指導員
式部陽子先生

帝塚山大学
こころのケアセンター

奈良市学園南3丁目1-3
☎ 0742-41-4937

※こちらの記事は『ことまま』2025年5・6月号で掲載したものです。

ライター

ことまま編集室
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奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
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