帝塚山大学心理学部心理学科准教授で、こころのケアセンター臨床指導員の式部先生に「療育」を受けるメリットを伺いました。

療育って特別なこと?

療育﹂と聞くと、専門家の先生だけが行うもの、というイメージがあるかもしれません。

専門家のできることは、子どもをよく観察して、できることはもっと得意になるように、できないことはできるようになるための工夫を、お父さん、お母さんと一緒に考えることです。専門家から子どもに合う支援のアドバイスをもらうことはもちろん大切ですが、毎日多くの時間を過ごす家庭で、子どもにとってのチャレンジや成功のチャンスを増やすことも、とても大切です。

たとえば、「くつ下を自分ではく」ということにチャレンジするとき、つま先をくつ下の履き口に入れる、くつ下をひっぱり上げるといった動作のコツを専門家から教えてもらったとします。そのコツを参考に、家庭で毎朝、登園前にくつ下を履くことにチャレンジします。大人が手伝うところ、手伝わなくてもできるところをじっくり観察してみましょう。手伝うところは、少しずつ、大人の援助を減らしていきます。すると、少しずつ、子どもができる部分が増えていきますね。できたことをほめていくと、子どもは、「自分でできた」達成感と、「自分で履ける」自信を持てるようになります。こうした生活動作や会話などのコミュニケーションは、毎日の積み重ねで少しずつ、上手になっていきます。

療育は、子どもの発達を応援すること。特別な場所、特別な時間でなくても、毎日のすべてのおうち時間が、子どもの成長につながっているんですね。

心理学部心理学科准教授
臨床指導員
式部陽子先生

帝塚山大学
こころのケアセンター

奈良市学園南3丁目1-3
☎ 0742-41-4937

※こちらの記事は『ことまま』2024年9・10月号で掲載したものです。

ライター

ことまま編集室
ことまま編集室
奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
Instagram: @co_to_mama