乳歯が生え始めたときから、なにかと気になる子どもの歯。歯みがきや歯並び、虫歯など、子どもの歯にまつわるあれこれをシリーズで中山矯正歯科・小児歯科の中山先生に伺います。

【反対咬合とは】

反対咬合とは下の前歯が上の前歯より前方に位置している歯並びのことで、3つのパターンがあります。

・上の前歯が内側に傾いている
・下顎が上顎より大きく骨格ごと前に出ている
・その両方


見た目に影響があるほか、うまく噛めなかったり発音がしづらかったりします。また、顎関節(がくかんせつ)に負担がかかるため顎関節症のリスクも高まります。

【原因】

①親族からの遺伝性
骨格は親族間で似るので、家族に反対咬合の人がいる(いた)場合、必ずではありませんが遺伝する可能性があります。

②後天的に身に付いた癖(くせ)に関係
低位舌(ていいいぜつ)など、舌で前歯を押す癖がある場合、歯に不必要な力がかかり誘発しやすくなります。また、普段の呼吸は鼻呼吸が良いとされていますが、口呼吸の癖がある場合も口を開けて舌を下げながら下顎を前へ突き出して呼吸するので誘発しやすくなります。


口を閉じているとき、舌は上顎前歯部の裏側の歯茎あたりにあるのが正しい位置(舌スポット)です。鼻炎や扁桃腺の肥大によって気道が狭くなると、酸素を取り込みやすくするために口呼吸をすることがあります。日常生活に支障が出ている場合は耳鼻科で診ていただくこともお勧めします。

【治療】

ある程度の年齢になっても、声掛けだけでは癖や口呼吸が治らないうえに歯並びに影響がある場合は治療を行います。

・癖を取り除くための装置の使用
・舌スポットの指導
・口周りの筋肉を機能的に使うためのトレーニング
・反対咬合を改善する装置の使用(4~5歳以降)

永久歯への生え変わりが始まる前から治療することで、生え変わりのときに自然と噛み合わせが改善する場合もあります。男女差や個人差はありますが、下顎の成長のピークは12~14歳ごろです。その時期に下顎の過成長を防ぐためにも、噛み合わせに問題がある場合は早めに歯科医院で相談してください。

教えて!先生

指しゃぶりは歯並びに影響するの?

はり、毎日長時間の指しゃぶりは前歯が出てしまいますね。精神を安定させるためにしていることが多いですが、年齢とともに社会へ出る時間が増えると減ってくる場合がほとんどです。悩んでいる保護者の方も多いですが、心配しすぎず、5・6歳では止められるように気長に優しく声掛けすることを心がけてください。

歯学博士 中山雄司先生
日本矯正歯科学会認定医
中山奈緒先生
小児歯科担当医

中山矯正歯科・小児歯科 西大寺

奈良市西大寺南町2番4 サンスクリット西大寺101
0742-93-6266
HP https://nakayamaortho.com/

ライター

ことまま編集室
ことまま編集室
奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
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