歯が生える前からお口を育てて全身の成長発達につなげる「赤ちゃん歯科」。学園前アップル歯科おとな・こども矯正歯科の院長 三原広吏先生に呼吸や姿勢、食生活、生活習慣など多方面からのアプローチを伺いました。

※本記事は「ことまま(2025年5・6月号)」に掲載した内容です。

赤ちゃんの歯やお口の機能の発達には、胎児期の姿勢に気をつけることに始まり、乳児期からお口のまわりの筋肉を整えることが大切です。「食べる」・「飲み込む」・「話す」・「呼吸する」といったお口の機能を正しく発達させることを「お口育て(日育)」と言います。

お口の機能が十分に発達していないと、寝ているときやテレビを見ているときなど、子どもが「おロポカン」になることもあります。お口の感覚や筋肉、神経が育っていないことが大きな原因で「口腔機能発達不全症」と呼びます。「おロポカン」は口呼吸のサインで、口腔内が乾燥した状態になるため、むし歯や歯肉炎になりやすく細菌やウイルス感染のリスクも高まります。

口腔機能を発達させるためには、乳児期からお口の感覚を育てることが重要です。そのための1つの方法がお口のマッサージです。感覚を育てるだけでなく、仕上げ磨きを嫌がることも少なくなってきます。親子のスキンシップの時間にもなりますね。お口のマッサージの仕方を間違えると子どもは余計に痛がりますので、方法は歯科医院でお尋ねください。

お口の機能は生命の維持に直結する非常に大切なことです。お口の機能が正しく発達しないと、全身の成長発達や姿勢に大きく影響します。

また、気道や鼻腔が狭くなることで呼吸がしづらくなり、睡眠不足や鼻つまりなどが引き起こされる結果、学習能力や運動能力にも影響が出るかもしれません。良い歯並びやむし歯にならないことも重要ですが、身体がしっかり成長していないと心も安定しません。将来の健康の土台作りとして、赤ちゃんの頃からお口の周りの筋肉をしっかりと発達させてあげましょう。(具体的なお口育ての内容は次回にお話ししますね)

実は、妊娠初期には胎児の顎(あご)が作られ始めます。その顎の成長には胎児の姿勢が影響します。そのためには、母体の骨盤を安定させることがとても重要となります。昔のように農作業や洗濯などの家事労働で中腰やしゃがんだ姿勢をとることの少ない現代では、毎日の生活のなかで意識して骨盤ケアを行う必要があります。子宮を支えている骨盤をしっかりと育てて快適な環境(子宮)で寝かせてあげましょう。胎児の姿勢がよくなり、顎の成長につながります。

たんぱく質歯の基礎をつくるあじ、卵、牛乳、豆腐
カルシウム歯の石灰化を助けるひじき、チーズ、しらすぼし
リン歯の石灰化を助ける米、牛肉、豚肉、卵
ビタミンA 歯の表面のエナメル質をつくる豚、レバー、ほうれん草、にんじん
ビタミンC歯の象牙質を作るほうれん草、みかん、さつまいも
ビタミンDカルシウムの代謝や石灰化に影響バター、卵黄、牛乳
※日本小児歯科学会より引用

最初は指で唇やお口の周りを優しく触れることから始めてみましょう。慣れてきたら徐々にお口の中をマッサージして、お口の感覚をしっかりと育ててあげてくださいね。歯が生え始めてきたら、歯を磨くというよりは、赤ちゃん用の歯ブラシを自分で持たせて、歯ブラシをお口に入れる習慣をつけることを目標にしましょう。

三原広吏
院長

学園前アップル歯科
おとなこども矯正歯科

奈良市学園北1丁目9-1 パラディ南館5F
0742-51-0004
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ライター

ことまま編集室
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奈良県を中心に子育てが楽しくなる情報を発信するWebマガジン『ことまま』の編集室。
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